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第1回 名づけの効用

 初めまして、やまき心理臨床オフィスの吉田卓矢です。私のコラム第一弾ですが、少しでも皆さんのお役に立てるような内容をお伝えできればと思っております。今回は「名づけの効用」ということで、話を進めていきたいと思います。

 皆さんは、「缶煎茶」という商品をご存知でしょうか?1985年に発売された商品なのですが、実はあの有名なロングセラー商品「お~いお茶」の前身の名前なんだそうです。中身は変わらないはずなのに、この「缶煎茶」という名前のときには“分かりづらい”と苦情がでるほどだったとか。そこで、商品名を「お~いお茶」に変更したところ、バカ売れしたそうです。このエピソードから物事にどのような名前をつけるかということの重要さを分かっていただけたでしょうか?

 さて、これを人間関係で考えてみたいと思います。日本では家族を役割名称(パパ・ママなど)で呼ぶことが多いのですが、これを突然、名前で呼んでみるとその相手との距離感やその場の雰囲気が変わってくることがあります。例えば、普段パパ・ママで呼び合っているご夫婦が、結婚前の呼び方で呼んでみると恋人時代の雰囲気がふと蘇ってくることが往々にしてあります。

 ここまで話を進めてきて、何をお伝えしたいかというと、この名づける(呼び方)ことを困っていることや苦手な人に使ってみましょうということです。

 例えば自分の性格に対して“ネガティヴ”と名付けたり、恐い上司に“怒りっぽい人”“恐い人”と名づけたりしていると捉えてみましょう。そして一旦その名前を外し、別の名前をつけてみて下さい。名付ける際のコツは、クスッと笑えるような少しユーモアが入ったものが良いでしょう。中学生や高校生の時に、学校の先生に変なあだ名をつけて呼んでいたご経験はないでしょうか?ご経験のある方はそんなイメージでもいいです。

 私の場合は、子どもがぐずっている時に「ぐずり虫」と名前をつけました。そして、あの一世を風靡した「おしりかじり虫」の音楽♪に合わせてリズムをとっていると、それまでの余裕のない気持ちから少しずつ余裕が出てきたように感じられました。

 別の名前をつけることによって、困っていることとの距離感がこれまでと少し変わってきます。そうすると、あなた自身にも少し余裕が出て、困っていることに対する見かたが変わったり、何か新しいアイディアが浮かんだりするかもしれません。

 難しいことではないので、是非、皆さんも試してみて下さいね。