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児島達美セミナー アーカイブ

2017年6月4日、元 長崎純心大学教授の、児島達美先生をお招きしてブリーフサイコセラピーワークショップを開催しました。

ご参加頂いた方の中から数名の方に、受講直後との感想と、1ヵ月経って、自身の臨床においての変化や身に付いたものはあったかどうかをレポートして頂きました。

参加者の声(直後の感想と1か月後の感想)

 (直後の感想)  (大学院生 T・Hさまより)

 この度は、児島セミナー“言葉が心を作る”に参加できたことをとても嬉しく思います。児島先生にお目にかかるのは今回が初めてでした。ユーモアを交えながら、楽しくお話ししてくださる児島先生の世界にあっという間に入り込んでいきました。今回のセミナーは、児島先生に影響を与えた数々の言葉の紹介や、実践的なお話、ライブ・ケースコンサルテーションなど…終わった直後は頭の中が整理しきれないぐらい盛りだくさんな内容でした。

 その中でも、“沈黙”についてのお話が印象に残っています。私は、ケース中に沈黙になると色々なことを考えてしまい、不安になってしまっていたため、沈黙についてのお話をしてくださったとき、とても納得でき安心した気持ちになれました。他にも、質問形式のお話などすぐに実践に活かせるようなお話もたくさんありました。今回のセミナーでは新たに学んだことが多く、少しずつ消化して自分のものにしていきたいと思います。

(1カ月後の感想)

 児島セミナー“言葉が心を作る”に参加させていただいてから、まず、“言葉”に対する意識が変わったように思います。それはセラピー場面ではもちろんのこと、日常生活においても意識するようになりました。「どうしてこのように言ったのだろう」「なぜ私に話してくれたのだろう」などと考えるようになりました。
 また、“言葉”に対する意識だけでなく、“沈黙”に対しての意識も変わりました。以前は、沈黙になると、色々と考えてしまい、不安になったり、過度に緊張してしまっていました。しかし今では、沈黙になってもそうなることは少なくなり、その意味を考えたり、相手が話すのをじっと待つことができるようになりました。他にも、“4つの質問形式”を実際にケースの中で使っていくようにしています。児島先生が仰ったように、それに縛られて目の前のClが見えなくなってしまうことに陥るときがあるので、これからもっと訓練していきたいと思います。


(直後の感想) (大学院生 Y・Hさま)

 とにかく“ためになる”セミナーだった。私たちが日々何気なく使っている言葉は、対人援助職において土台であるにも関わらず、自分がいかにおざなりにしていたのかを痛感した。おざなりにしていたが故に、私にとって今回のセミナーはたくさんの新鮮な情報が得られた。そのため本当に頭がパンクしそうになったが、良い意味での疲れと充実感に満たされ、自分が一呼吸おいてどんなことを考え意識すれば良いのかということの切り口をいただけたように思う。
 また、先生と参加された方々の間でもしっかり意見交換をされていて、一方的に進むような感覚は全くなくその場での相互作用を感じて、その空間が大変心地よかった。まだ駆け出しのこの時期に今回のお話と空気に触れることができ、自分の意識すべき点の示唆を得られ、参加して本当に良かったと思う。


(1カ月後の感想)

 自分に身についたと思えることは、考えていることから一歩引く姿勢だと思う。セミナーが終わってすぐは、ノンバーバルを含めてどう自分が言葉を扱っているのかという意識が大きかった。しかし、ここ一ヶ月で言葉を頭の中で考えるときに、少し引いて考えてみようと思えるようになったことに気づいた。今まで目の前の問題に集中していて、この場面でどうしたら良いのかということにとらわれすぎていた気がする。児島先生がおっしゃっている通り、「言葉がこころを作る」と思うが、まず自分の言葉がどこからでてきているのかということを見ようと思う意識がでてきた。言葉をやみくもに考えるのではなく、どうしてその言葉に至ったのか、そこからどうしていくのかを考えるようになった。コンサルティを追いつめない温かい雰囲気の児島先生のライブコンサルテーションでの雰囲気を思い出して、自分に対しても追いつめずに考えてみようと思えるようになった気がする。


(直後の感想)  (大学院生 S・Mさまより)

 今回の研修では普段日常場面や面接場面で使う言葉について意識を向けるようなお話があった。お話の中に「言葉は形作るものである。人が話すことで,その人が形作られている」 という言葉が印象的であった。面接では日常会話よりも話す言葉に注意しているが、「人を形作る」という意識はなかった。言葉の影響力は強いと今回児島先生のお話を聞いていて思った。
 また,児島先生がライブ・ケースコンサルテーションを見せて下さった。通常の事例検討とは違う点が多く、興味深かった。児島先生が最初に質問したことはケースのことではなく,現在のカウンセラーの状態についてだった。ウォームアップクエスチョンとして聞いたとしても予想外の質問だったように感じた。その後も通常の事例検討とは違い,その場の雰囲気で話の流れが決まり,自由に発言できる空気があった。実際に自分も体験してみたいと思った。

(1カ月後の感想)

 研修会から1か月が経ち、その間に心理面接を行う機会があった。以前は沈黙になることが恐ろしく感じ、一生懸命話題を探して話していた。しかし、研修会で沈黙中にClの中で色々なことが起こっている大事な時間だというお話があったので、面接の時に沈黙が訪れた時に自分の不安な気持ちを押さえ、じっと待ってみた。そうすると、Clから話題が出てきた。しかも普通に面接していたら出てこなかったような話題であった。このように研修会を受けてからClや面接に対する向き合い方が少し変わったように感じる。今までClに対し、何もできていないような感じがしていた。だが、Clが自分の経験を語りThとのコミュニケーションの中で内省をすることも大切だと知り、焦る気持ちがなくなった。焦る気持ちがなくなると今まで見えていなかったClの気持ちや変化に気が付けるようになった。劇的に面接が変わったというわけではないが、Thとしてほんの少し楽になった。


(直後の感想)  (大学院生 O・Sさまより)

 今回の内容は私にとってまた難しいところがありますが、言葉と対話の重要性が伝わってきました。 先生からの押し付けがなく、これが一番いいものだからぜひ学んでくださいみたいなこともいっさいなかったです。ただこういうようなものもあるよと提供して頂きました。現在では、○○療法などが多くて、あまりに○○療法などに拘らずに、一つの考え方、一つのやり方として勉強したほうがいいかもしれません。このような考え方が今回の研修会で得られました。
 後半は生のライブコンサルタントをみることができましてとてもよかったです。学校ではなかなかこういうような機会がなくて、とても貴重な体験だと思います。また、自然の対話の中でいろんなエピソードやリソースが発見されました。さらに、対話の大事さを感じました。ありがとうございます。

(1カ月後の感想)

 研修会受けてから1カ月たちました。ここの1カ月は学校のケースカンファレンス、学外の事例検討会などに参加しました。いろんな方の意見や見方が出てきます。そこで感じたことは言葉の力、つまり言葉が持っている行為性と言語が存在に形を与える力はケースを違う方向に持って行きます。そのときに研修会のことを思い出して、とても勉強になりました。また、質問のしかたにより答えが変わったり、さらに問題の質まで変えることもあります。人にとってストーリーの大切さ、ナラティブの大切さを感じました。 これからも研修会の内容を活用して行きたいと思います。


(直後の感想)  (大学院生 M・Aさまより)

 今回のセミナーで感じたことは「混乱と圧倒」です。午前中は著名な方々が“言葉”というものをどのように捉えているのか,三者三様の“言葉”を知ることで,私が日常的に使っている言葉を新たな視点で見ることができました。しかしそれは,驚きや混乱に近いもので,捉えられそうで捉えられない,まだ自分の中にすとんと落とし込むことができない状態でした。しかし児島先生から「完璧に理解しきるほうが怖い,その感覚を大切にしたらいい」というようなニュアンスの言葉を頂けたので,普段からちょっとずつ言葉を意識し向き合い続けることで,いずれ言葉の深さを捉えられるようになればいいなと思いました。
 午後のライブケースコンサルテーションでは,このような形でコンサルテーションを見ることは初めての体験で,圧倒されてしまい正直ついていけない部分もありましたが,コンサルティがエンパワーされている様子をみることができ,貴重な経験になりました。

(1カ月後の感想)

 この1か月間,やらなければならない課題とそれにどう立ち向かっていくか,乗り越えて何が得られたかをグルグルと考えることで精いっぱいの毎日を過ごしていましたが,ふと思い返すと自分の発する言葉と向き合う時間が多くあり,言葉を大切にしたいと思うようになっている自分に気付きました。自分の中にある様々な感覚,感情を「疲れた」「楽しい」といった言葉で片付けたくない,もっと大切にしたいという思いが芽生え,その感覚,感情になるべくぴったりな言葉を考え丁寧に選ぶ作業をすることが増えました。
 このような考え方をするようになったのはこの1か月なので,セミナーに参加させていただいた時は内容が難しくて理解しきれない部分がたくさんありましたが,少しは自身の身に付いたのかなと思いました。


(直後の感想)  (大学院生 K・Yさまより)

 児島先生のセミナーを受けて最も強く感じたのは言葉と真摯に向き合う姿勢がひしひしと伝わってくるということだった。もちろんカウンセラーは言葉を使う仕事であるから、言葉そのものが持つ性質や用い方について意識しなければとても務まるものではないだろう。それでも言葉は誰もが日常的に使うが故に、無意識的の内にないがしろになりがちなものである。 しかし児島先生にはそれがない。 言葉が持つ様々な側面を踏まえつつ、相手に合わせて自在に使いこなしていらっしゃる様子を見てただただ感銘を受けた。
 今回はケースコンサルテーションを生で見させて頂く機会に恵まれ、そこでコンサルティーに対する発言の無駄の無さ、的確さを感じた。今の段階で直接活かせるものは少ないかもしれないが、心理臨床に携わることを目指すものとして、児島先生から感じた言葉と真摯に向き合う姿勢は今から意識していきたい。

(1カ月後の感想)

 児島先生のセミナーやライブコンサルテーションを受けて学んだことは「言葉」に対して真摯に向き合うことであった。それまでも言葉遣いや相手に対してどのように伝えるかということについて考えたことはあったが、この1ヶ月で「言葉」というほとんど意識せずに使っている道具の意味や効果について考える時間が増えた。それによって自分自身が感じていることをそのまま「言葉」として表現することの難しさに改めて気づき、また日常会話の中で使う「言葉」の選び方にも今まで以上に深く目を向けるようになったことを実感している。 セラピストを目指すものとして「言葉」との関係はまさに切っても切り離すことができないものである。日頃使っているものであるからこそ、セッションだけではなく、まずは日常の中から意識して用いるように今後とも心がけていきたい。


(直後の感想)  (大学院生 A・Hさまより)

 人が長い進化の過程で生み出した「言葉」というツールは共通認識を可能にしました。それは例えば空に浮かぶ雲に名前を付けイメージが固着するように一般的で形式的な概念を内包する「型」ともいえ、また行為名称、あるいは真の意図を達成する手段といった様々な側面も持つようです。実体のないこころというものを表現し理解しようとした時に及ぼす多様な影響を様々な知見を通して改めて考え、多角的な視点を得ることができました。  また後半のケースコンサルテーションを通し、コンサルテーションの本質とは、セラピスト自身の情報や目的を整理したうえでケースとの相互作用を観察し、本人に合ったケース展開を検討することであるように感じられました。大切なのは流れの中の転機、良い所に注目することであるというお言葉や、客観視や想像を通してクライアントに対する理解を促し色付けしながら整理していく過程の鮮やかさに感服し、とても勉強になりました。

(1カ月後の感想)

 言葉というものを様々な視点で見ることを通して、日常生活でもふとした拍子に気にすることが増えました。今どんな気持ちで、何がしたくて語るのか。言葉の内容だけでなく非言語的な役割にも注目し、相手の様子を推し量ることで、今まで聞き流してきた(聞き流さるを得なかった)言葉を発見しているような感覚があります。確かに言葉は進化し、知識を得ることでその語彙量は増加するけれど、どんな言葉で表し飾ろうともその中心にある心は変わることがありません。それを伝える、あるいは読み取ることで、それこそ言葉では言い表すことができないような感情を相手と共有することが叶うのかもしれません。こうした真意の示し方は千差万別となり、ある人は言葉巧みに、ある人は沈黙することで真意を隠そうとしますが、こうした「語り」を冷静に感じ取る指標として、ひらめきが少しずつ身についているような感じがしています。


(直後の感想)  (大学院生 N・Nさまより)

 固定観念に囚われず本当にクライエントに役立つアプローチとは何であるかを模索されて、そこから得てきたことのエッセンスを拝聴できました。研修の前半では、言葉と心の関係性を中心にお話していただき、そのなかでもとくに「語り手の発話内容は、聞き手との相互作用によって語り直され、未だ語られていないストーリーが浮かび上がってくる」という言葉が印象的でした。4つの質問形式のお話をされていたことで、より具体的にカウンセリングについての理解を深めることができました。後半は、実際にカウンセリングがどのように行われているのか追体験できました。児島先生の「こんな風になっていたらいいなぁ、というイメージはできますか?」という問いかけが印象的でした。一つ一つ丹念に聴 く段階から、その中から引っかかった言葉を広げていく様子が、仮の質問や言葉のほりさげを通して問題の核心に焦点化されていく過程が垣間見れて面白かったです。